治療が必要な歯並び

乱ぐい歯(叢生)について

乱ぐい歯(叢生)

歯が上下、前後などガタガタに並んでいる噛み合わせです。見た目だけでなく、歯が複雑に入り組んでいるためお手入れしずらく、むし歯や歯周病にかかりやすい傾向があります。

乱ぐい歯(叢生)には、顎を拡げる治療や歯を移動させる治療を行います。

顎を拡げる装置について

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クワドヘリックス、バイヘリックス

主にクワドヘリックスは上顎に、バイヘリックスは下顎に装着します。

変形したW型に曲がったワイヤーの両端を奥歯に固定して、ワイヤーが外に行こうとする力を使って顎を拡げていく方法で、歯と歯を支える歯槽骨に働きかける治療のため、年齢を問わずに治療できます。自分で取り外しは出来ず、固定式の装置になります。

乱ぐい歯や叢生、凸凹のある歯列の場合以外にも、傾いてしまった歯や、ねじれのある歯列にも使用できます。

床拡大装置

床拡大装置は、レジン(プラスチック)でできた口蓋に沿う2枚のプレートと歯に固定するワイヤー、調節ねじでできて、お食事やお手入れの際にはご自分で取り外しができる装置です。

1日12時間以上着用し(長いほど効果的です)、中央についている調節ねじをきまった日にちで回転していくと、最初はくっついていた2枚のプレートが、少しずつ離れていき、歯列の横幅を広げていきます。

主に乳歯と永久歯が混ざったお子様の治療に使用されます。乱ぐい歯だけでなく、受け口や出っ歯の場合にも行います。横幅を拡げて、キレイに生えそろう方もいらっしゃいますが、第二期として、拡げて空間のできた歯列に歯並びや噛み合わせをワイヤー矯正などで整えていくことが多くなります。

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急速拡大装置

主に上顎へ装着します。蝶の形をした太めのワイヤーでできた装置です。羽の4つ角部分に歯が固定できるようになっており、自分で取り外すことはできない固定式になっています。

ご自宅で、蝶型中央部分の金具を、1日1/4回転ずつ回していくと、1か月で約6㎜程度顎を拡げることが可能になります。上顎はもともと2枚の骨で構成されており、上顎中央部分は「正中口蓋縫合」というつなぎ目があります。

成長期のお子さまはもともと顎の成長に伴って、正中口蓋縫合が開いていくので、装置を使って成長をさらに促し、顎の広さを確保していく方法です。

成長する力を借りて行う治療法のため、12歳くらいまでのお子様、または成長期が終了するまでの16~18歳までの方にはお勧めする場合があります。

歯を移動させる装置について

リンガル矯正装置(裏側矯正・舌側矯正)

リンガル矯正とは、ブラケットとワイヤーを歯の内側に装着していく矯正方法です。意図的にお口を大きく開けない限り装置自体が見えにくく目立ちません。

上下を両方とも内側に装着するフルリンガルと上のみを内側に装着し、下の歯は表面に装着するハーフリンガルという方法もあります。リンガル矯正は歴史と実績のある治療法で、確実な効果が期待できます。

ねじれの強い方や複雑な矯正が必要な方にもおすすめする治療法です。当院ではフランスの「HARMONIY®」社製の「ハーモニー」という装置を使用しています。

通常のリンガル装置ではブラケットとワイヤーを固定する際に、針金やゴムが必要でした。ハーモニーは、ブラケット自体にワイヤーを固定する機能がついているセルフライゲーションシステムのため摩擦抵抗がすくなくなり、少しの力で早い効果が期待できます。

また、CAMを用いて、患者様の歯列に合わせて屈曲されたストレートワイヤーは汚れがたまりにくく、むし歯になる心配を大幅に軽減しました

トランスパラタルアーチ

トランスパラタルアーチは、左右の奥歯に装着したバンドを口蓋にそって真横にワイヤーを通した形の矯正装置です。

歯の生えてくるスペースを保ったり、また、動いてほしくない歯を固定する働きを持つ装置でもあるため、抜歯の治療の際によく用いられます。

マルチブラケット装置と併用し、トランスパラタルアーチで奥の歯を動かないように固定しながら、抜歯でできたスペースに前歯や犬歯など歯列が整うようにマルチブラケット装置で整列させる治療も一般的です。

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反対咬合(受け口)について

反対咬合(受け口)

下の前歯が上の前歯より前に出てしまっている噛み合わせです。正しい発音がしづらくなったり、前歯で食べ物を噛み切ることが難しくなります。遺伝のほかに、下顎を突き出す、舌を出すなどの癖が原因の場合もあります。

お子様の場合には、上顎の発達を積極的に促す治療を行います。成人の方の場合、必要な場合は抜歯によりスペースを確保し、歯列を整えながら治療を行っていきます。

上顎の成長を促す装置について

上顎前方牽引装置

上顎前方牽引装置は、お顔の周りをぐるっと一周するように輪郭に沿ったワイヤーのおでこと顎に当たる部分にパットが施されています。

口の中に輪ゴムをひっかけるフックのついた装置を上顎に装着し、輪ゴムで装置本体とつなぎます。前方の装置に向かって上顎を引っ張ることで、上顎の成長を促します。

顎の発達する力をより促す装置なため、成長途中の12歳までのお子様が対象になります。睡眠中などの1日12時間以上の着用を1~2年継続していくことで効果が得られます。

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歯列を整える装置について

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固定式リンガルアーチ

リンガルアーチは左右の下奥歯に装着したバンドを下裏にそってワイヤーを通した形の矯正装置です。

抜歯の際など、歯が動いてせっかくのスペースがなくならないよう、歯を動かないように固定する働きがあります。

反対咬合の場合、抜歯によってスペースを確保し、空いたスペースを使いながら前方の歯の歯列を整えて治療を進めていくことが多くあります。

上顎前突(出っ歯)について

上顎前突(出っ歯)​

上の前歯が下の前歯に3mm以上前方に被ってしまう歯並びです。

遺伝のほかに、幼児期の指しゃぶり鼻炎、口呼吸などの悪癖が原因にもなりえます。

お子様の場合には、下顎の発達を積極的に促す治療を行います。成人の方の場合、必要な場合は抜歯によりスペースを確保し、歯列を整えながら治療を行っていきます。

下顎の成長を促す装置について

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バイオネーター

バイオネーターは、ワイヤーに2枚に分かれたプラスチックの床がついた矯正装置です。2枚のプラスチック床の真ん中には調整ねじがついており、徐々に2枚の間隔を拡げていくことによって、下顎の成長を助長します。

顎の発達する力をより促す装置なため、成長途中の12歳までのお子様が対象になります。

睡眠中などの1日12時間以上の着用をすることで効果が得られます。咬み合わせが深い場合や、反対咬合の場合にも使用することがあります。

歯列を動かし、整える装置について

AsoAligner(アソアライナー)

アソアライナーは、透明なマウスピース型矯正装置です。前歯の小さな凹凸、矯正の後戻り、隙間をなくす矯正など、比較的軽度の矯正に向いています。

1か月ごとに歯型を取り、その歯型を元に厚みの異なる三種類のマウスピースを作製します。

まずは薄いマウスピースから1日17時間以上10日間装着し、次の厚みのマウスピースの装着へと移行します。3種類の装着が済む30日後にまた、歯型を取り直し、新しい3種類のマウスピースを作製します。

一か月ごとに改めて歯型を取り直すので、むし歯の治療やホワイトニング治療を並行しても歯型の変化に対応することができます。

asoaligner

開咬について

開咬​

奥歯がしっかりと噛み合った状態でも、前歯に隙間ができてしまう噛み合わせです。

前歯でかみ切る動作に支障がでてしまいます。指しゃぶりや舌を出すなどの日常的な癖を直していくことで正常な噛み合わせに戻っていくこともあります。

ご自身やお子様のお口元、よくチェックしてみてください。